ここあい便り⑬ ~幻聴が教えてくれる、こころの声~
〜今の暮らしと向き合う訪問看護〜
「最近また声が聞こえるようになってきたんです」
そう話してくれたのは、訪問を始めて数ヶ月経つ利用者様。
幻聴は、統合失調症などの診断を受けた方に多く見られる症状の一つですが、
最近私たちは、その“声”が、本人の現在の生活に深く結びついていることを強く感じています。
【“今の暮らし”が幻聴の背景にある?】
たとえば、一人暮らしをしているある利用者様は、
いつも「誰かが文句を言っているような声が聞こえる」と言っていました。
よく話を聞いてみると、
・仕事をやめてからずっと家にいて、人との関わりが減っている
・家の中も散らかっていて、生活リズムが崩れている
・将来に対する不安がずっと胸の中にある
こうした状況が続く中で、「このままでいいの?」「何もできていない」という“自分の中の思い”が、幻聴という形で現れてるように思われます。
幻聴の内容は、単なる妄想ではなく、本人の心の奥にある不安や孤独、
後悔といった感情が、
声として聞こえていることもある。
――私たちはそう捉えています。
【幻聴に支配されないために、私たちができること】
幻聴とうまく付き合うためには、単に薬を飲むだけでは足りません。
「今の暮らしをどう整えていくか」「どんな気持ちがその背景にあるか」を
一緒に見つめていくことが大切です。
こころのあいでは、こんな支援をしています
- 幻聴の内容を否定せず、「今、どんな風に聞こえていますか?」と一緒に整理する
- 生活の中でストレスや孤独を感じている部分を探り、改善できる方法を一緒に考える
- たとえば、一緒に部屋を少し片付ける、料理をして気分転換する、
- 外の空気を吸いに行くなど、小さな行動から生活に変化をつけていく
- 「その声は“本当のあなた”があなたに伝えようとしていることかもしれませんね」と、幻聴を“心のメッセージ”として受け取るお手伝いをする
【声に耳を傾けることは、自分自身と向き合うこと】
幻聴を「ただ消したいもの」として無理に押さえ込もうとすると、
かえってつらくなってしまうこともあります。
でも、「その声の背景にある自分の気持ち」に目を向けてみると、
今の生活を見直すヒントが見えてくることもあります。
私たちこころのあいは、幻聴に悩む方にこう伝えています
「声があっても大丈夫。あなたの生活を、あなたらしく整えていくお手伝いをします。」
一人では難しいことも、誰かと一緒なら少しずつ進める可能性があります。
幻聴が教えてくれる“心の声”と、無理なく向き合えるような訪問看護を、これからも続けていきます。
訪問看護ステーション
こころのあい
所長・稲垣文雄
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