
ここあい頼り㉙ ~クライシスプラン 病状悪化時の希望の確認~
こんにちは。
こころのあいです。
これまでのブログでは、
① 自分の目標を確認する
② 調子の変化を見分ける
③ 色ごとの対処法を考える
④ ストレスを把握する
…という流れでクライシスプランを作ってきました。
今回は⑤「病状が悪化したときの希望の確認」です。
少し重たいテーマに見えるかもしれませんが、
実際の生活で一番役立つ部分でもあります。
なぜ希望を伝えておくのか?
調子が赤信号(要注意)まで進んだとき、
本人は冷静に判断することが難しくなります。
「自分はまだ大丈夫」と思ってしまったり、
逆に「もう何もしたくない」と投げやりになってしまったり。
そんなときに、
事前に「どうしてほしいか」
「どうしてほしくないか」
を書き残しておけば、
周囲は迷わず動けますし、
本人の尊厳も守られます。
こころのあいの利用者様の事例
A・医療への希望
過去に強い不安の中で注射を受けた経験があり、
今もその記憶が心に残っています。
「また同じことになるのでは」という恐怖があるため、
クライシスプランにはこう書きました。
- できるだけ飲み薬で対応してほしい
- 話すときはゆっくり、落ち着いた声で接してほしい
- 「あなたは病気!」と断定的に言われるのは避けてほしい
B・生活面での希望
症状が悪化すると
「とにかく一人でいたい」
気持ちが強くなります。
しかし家族は心配のあまり
「大丈夫?」「元気出して!」と声をかけすぎてしまい、
それが逆効果に。
そこでプランには、
- 部屋にこもっても責めずに見守ってほしい
- 危ないときだけ声をかけてほしい
- そっと飲み物や食事を置いてもらえると助かる
「無理に励まされるより、“見守られている”ことが安心につながります」
C・入院に関する希望
「まだ大丈夫」と思い込み、
受診や入院が遅れてしまうことがありました。
その結果、入院が長引いた経験もあります。
そこで今回は、
- 要注意症状(幻聴や強い不眠)が1週間以上続いたら入院してもよい
- 自分が否定しても、スタッフや主治医が必要と判断したら任せたい
- 入院時には信頼できる姉に連絡して、代わりに説明してほしい
「自分一人では正しい判断ができないことがある。信頼できる人に任せたい」
希望と現実のバランスをとる
もちろん、希望すべてが叶うわけではありません。
命に危険に関わるとき、
医療や支援者が優先して判断しなければならない場面もあります。
だからこそ、
1 「本人の希望」
2 「支援者ができること」
3 「現実的に可能な対応」
この3つの折り合いをつけることが大切です。
ここには主治医や家族も含めて話し合う必要があります。
まとめ
- 病状が悪化すると、自分の希望をうまく伝えられなくなる
- 元気なうちに「どうしてほしいか」を話し合っておくことが大切
- 希望と現実の間に折り合いをつけることが、安心した生活につながる
次回は、「周囲からみた状態と対応の共有」についてお伝えします。
訪問看護ステーションこころのあい
所長 稲垣 文雄



