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統合失調症・うつ病を中心とした精神科特化型の訪問看護ステーション「こころのあい」
サービスのこと、日々のこと、様々な角度から思うことを発信しています。実際に訪問看護を利用されている当事者やご家族様の声も掲載していますので、これから訪問看護の利用を考えている方の参考になれば幸いです。
ブログ
2025.11.10
こんにちは。こころのあいです。 今回のテーマは「クライシスプランの実践編」です。 今回は、実際にどのように使われているのかを、こころのあいの事例から少しご紹介します。 ① 調子が下がり始めたときの “ 早めの気づき ” だんだんと朝起きづらくなってきた時にクライシスプランを見返し、 「黄信号のサインに当てはまる」と気づきました。 その日のうちにスタッフへ連絡し、 早めに休養を取ったことで、 以前のような大きな不調になる前に立て直すことができました。 「これまでなら無理をして悪化していたけれど、 今は “ 少しの変化 ” で動けるようになりました。」 このように、自分の状態を【客観的に見られるようになる】 のもプランの大きな効果です。 ② 家族とのすれ違いが減った 「休んでばかり」と家族に誤解されることがありました。 しかし、クライシスプランを一緒に確認するようになってから、 「今は黄信号だから静かに過ごしている」 と家族も理解できるようになりました。 「何もしていないではなく、回復のために休んでいる」 と伝えられるようになりました。 家族と本人が同じ信号で話せることで、安心して見守る関係が築かれています。 ③訪問看護との意思疎通がスムーズに クライシスプランを看護師や作業療法士と共有することで 自分の状態を簡単に伝えられるようになりました。 診察のとき、主治医に説明するのが難しかった方も、 訪問看護で事前に主治医に伝えたいことを一緒にまとめることができます。 まとめ クライシスプランは “ 自分を守る取扱説明書 ” のような存在 小さな変化に気づけると、大きな不調を防げる 家族や支援者とのすれ違いが減り、安心して話せる関係ができる 医療とも連携しやすくなり、治療がスムーズになる 今後もこころのあいでは、利用者さんと一緒にクライシスプランを育て、 より安心して過ごせる支援を続けていきます。 訪問看護ステーションこころのあい所長 稲垣文雄
2025.11.03
こんにちは。こころのあいです。 今回のテーマは「クライシスプランを日常生活で活かす方法」です。 クライシスプランは、作っただけでは意味がもったいないものです。 日常の中で少しずつ使っていくことで、初めて力を発揮します。 ① 朝と夜の “ セルフチェック ” 朝と夜に少しだけ立ち止まって、 「昨日より疲れていないか」 「しっかり眠れているか」 「人と話せたか」 などを確認します。 調子が良ければ青信号 少し疲れていたら黄信号 何もしたくない時は赤信号 今日は何色かな?とイメージすると不調の変化に気付きやすくなります。 ② 不安が出たら " プランを開く" 人の目が気になったり、落ち込みが続く時は、 クライシスプランを見返して 「今できること」をまずは1つ実行してみましょう。 音楽を聴く、部屋を暗くして休む、深呼吸するなど、 一つの行動が次の落ち着きにつながります。 ③ 家族や支援者と ” 話すきっかけ "に 使う 家族や支援者に 「このプランに書いてあるここが今の自分に近い」 と伝えるだけでも十分です。 「じゃあ今日は少し静かに過ごそうか」 と、周囲と動きを合わせることができます。 ④ 調子が戻ったら “ ふり返る ” 落ち着いた時に 「何が良かったか」 「何がうまくいかなかったか」 を一緒に確認します。 この繰り返しが、クライシスプランを自分らしい形に育てていくコツです。 まとめ 毎日の中で“自分の信号”をチェックする 不安を感じた時はプランを見て、行動をまずは一つ実行 家族や支援者との会話のきっかけにも使う 調子が戻ったらふり返り、次に活かす クライシスプランは、いざという時の「備え」だけではなく、「日々を支える道しるべ」です。 使うたびに少しずつ形を変えながら、安心して過ごせる時間を増やしていきましょう。 訪問看護ステーションこころのあい所長 稲垣文雄
2025.10.27
こんにちは。こころのあいです。 今回のテーマは「クライシスプランの具体的な使い方」です。 普段、調子が良いときは人と自然に話せたり、外出や仕事や学校にも行ける。 音楽を聴いたり散歩をしたり、リラックスして過ごせる時間もある。 けれど、調子が落ちてくると 人の目が気になって仕方がなくなったり、 周囲の言葉が心に刺さるように感じてしまったりします。 次第に人との関わりを避け、外にも出られなくなり、 最悪のときには「もう何もしたくない」「誰とも話したくない」 と心のシャッターを下ろしてしまうこともあります。 そんな時に「クライシスプラン」が助けになる クライシスプランでは、 調子の変化を3段階(青・黄・赤)で整理し、 状態に合った行動を決めておくことができます。 ひとつの例を見てみましょう。 青信号(安定しているとき) 人と話せている 音楽や散歩でリラックスできる→ 続けていくことで安定を長く保てる。 黄信号(少し調子が落ちてきたとき) 人の目が気になり始める 作業に集中できなくなる→ 無理に人と関わろうとせず、静かな時間を増やす。 好きな音楽を聴く、早めに休む。スタッフに調子を伝える。 赤信号(強い不安や緊張が続くとき) 外出できない、人との会話を避ける 頭の中がいっぱいになり、何も手につかない→ 一人で抱えず、家族やスタッフに連絡する。 必要に応じて受診や休養の調整を行う。 周りの人ができること クライシスプランは、本人だけでなく周囲の関わり方も大切です。 本人が敏感になっているときは、 「頑張って」「大丈夫だよ」と励ますより、 「今日は少し静かに過ごそうか」「無理しないでね」 と安心を伝える声かけが効果的です。 また、言葉がけよりも ≪そっと見守る≫ 、≪近くにいる≫ という関わりが支えになることもあります。 まとめ 調子が良いとき・落ちたときの違いを具体的に書く 状態ごとの「やること」と「周囲の対応」を整理しておく クライシスプランは、本人と周囲が同じ方向で動くための道しるべ 来週からは、実際にこのプランを日常生活の中でどう活かしていくかを、分かりやすく紹介していきます。 訪問看護ステーションこころのあい所長 稲垣文雄
2025.10.21
こんにちは。 このたび、さいたま市保健所主催の「統合失調症患者の家族教室」にお声がけいただき、講師として参加することになりました。 日時:令和7年11月18日(火)14:00~16:00会場:武蔵浦和コミュニティセンター 8階 当日は、「精神科訪問看護とは?」というテーマで、日々の訪問看護の現場から見える支援のかたちや、ご家族との関わり方について、わかりやすくお話しさせていただく予定です。 堅苦しい話ではなく、実際のエピソードや「現場で感じていること」を中心に、聞いてくださった方の心が少し軽くなるような時間を目指したいと思っています。 当日は、当事者の体験談や精神障がい者団体ウィーズさんのお話もあり、さまざまな立場から学べる貴重な時間になると思います。 さいたま市の公式サイトからお申込みを ご興味のある方は、さいたま市保健所の家族教室案内ページをご覧ください。 これからも、「こころのあい」は、地域での安心につながる支援を続けてまいります。 よろしくお願いいたします。 訪問看護ステーションこころのあい所長 稲垣 文雄
2025.10.06
こんにちは。こころのあいです。 今回のテーマは「クライシス・プランの加筆・修正」です。 これまでクライシスプランの作り方をお伝えしてきましたが、 作って終わりではもったいないのです。 生活や病状は日々変わります。 その変化に合わせて、プランも少しずつ直し、 より自分に合った形にしていくことが大切です。 どんなときに修正する? 黄色信号のサインが長く続いたとき 大きな出来事があったとき 季節や生活環境の変化があったとき 「前のプランでは合わなかったな」と感じたら、それは修正の合図です。 修正するときのポイント 1.サインを具体的にする例:「眠れない」→「5時間未満の睡眠が2日続いたら」 2.対処法を優先順位で整理する 例:「音楽を聴く→呼吸法→追加薬→スタッフへ連絡」 3.連絡先や基準をはっきり書く 例:「赤信号のときは当日中に訪看、改善なければ主治医へ」 実際の修正例 ある利用者さんは「片付けに夢中になると寝不足になる」と気づきました。 そこでプランに新しく、 ・サイン:「21時を過ぎても集中している」 ・対応:「声かけで休憩を勧める」 と加えました。この一行を追加しただけで、家族も声をかけやすくなり、 不調を防ぐことにつながりました。 まとめ クライシスプランは作ったら終わりではなく、直して育てていくもの 状況が変わったら「サイン・対処・連絡」を見直す 小さな修正が、安心した生活を守る力になる 今回でクライシスプランの基本的な説明は一区切りとなります。 来週からは「実際にどう活用していくか」という具体的な場面に焦点を当ててお伝えしていきます。 訪問看護ステーションこころのあい所長 稲垣文雄
2025.09.29
こんにちは。こころのあいです。 今回のテーマは「クライシスプランの共有」です。 これまでクライシスプランは、ご本人とスタッフで確認してきました。 しかし本当に力を発揮するのは、大切な人たちと共有できた時です。 家族や大切な人と共有する意味 ご本人は「できるだけ一人でがんばりたい」と思うことがあります。 でも家族は「どこまで声をかければいいのか」「手を出すと嫌がられるのではないか」と迷います。 クライシスプランを一緒に確認しておけば 「黄色信号のときは静かに見守る」 「赤信号になったら主治医へ連絡する」 といった行動があらかじめ決まっているので、家族も安心して支えられるのです。 医療や福祉と共有する意味 診察の場は短い時間で終わってしまいます。 「うまく伝えられなかった」と感じることも少なくありません。 そんなとき、クライシスプランを主治医と共有しておくと、 どんなときに症状が悪化しやすいか そのときにどんな対応を望んでいるか が一目で伝わります。 結果として、診察の中身が濃くなり、治療方針も本人の思いに沿ったものになりやすくなります。 まとめ クライシスプランは「家族」と「医療」と共有してこそ大きな力を発揮する 家族は迷わず支えられるようになり、本人も安心できる 医療は限られた時間でも的確に治療方針を決めやすくなる 作るだけではなく、支援者と一緒にクライシスプランを共有することが安定した生活への近道です。 訪問看護ステーションこころのあい所長 稲垣文雄
2025.09.27
こんにちは。こころのあいです。 今回のテーマは「セルフモニタリング表の作成」です。 これまでクライシスプランでは、サインや対処法を一緒に整理してきました。 でも実際には「頭では分かっているけれど、日常の中で忘れてしまう」ことが多いものです。 そこで役に立つのがセルフモニタリング表です。 セルフモニタリング表って? 毎日のちょっとした調子を、簡単に書き残す表のことです。 「今日の睡眠時間」「気分」「疲れ具合」など、 自分に合った項目を決めて記録します。 紙でも手帳でも、スマホでもOK。 大切なのは“難しくせず続けられること”。 「完璧でなくていいですよ、3日に1回でも構いません」と伝えています。 記録を残すと見えてくること ある方は「寝不足が続くとイライラしやすい」と、記録をつけて初めて気づきました。 別の方は「デイケアを休んだ週は調子が下がりやすい」と分かりました。 本人だけでなく、私たちスタッフも一緒に表を見ながら、 「このあたりで立て直そう」「ここで無理しすぎたね」と話し合えるのです。 こころのあい流の使い方 記録はシンプルに(〇×や0〜2の数字で十分) 無理せず続ける 訪問時に一緒に振り返り、次の工夫につなげる こうすることで、ただの「紙」ではなく「安心できるプラン」になります。 まとめ セルフモニタリング表は日々の調子を“見える化”する道具 無理なく続けられる形で、自分に合った項目を選ぶ 記録をもとに本人と支援者が同じ目線で話せるようになる 作るだけでなく、日々の中で“使ってこそ生きるプラン”にしていきましょう。 訪問看護ステーションこころのあい所長 稲垣文雄
2025.09.15
こんにちは。 こころのあいです。 今回のテーマは 「周囲からみた状態と対応の共有」です。 本人より先に周囲が変化に気づくことが多いのです。 「周囲が気づくサイン」と「そのときにどう動くか」を考えてみましょう。 周囲から見えるサイン 本人は「大丈夫」と思っていても、周囲には違いが見えることがあります。 朝の起きる時間が遅くなる 会話が減り返事が短い 身だしなみが乱れる 外出やデイケアを休む こうした小さな変化を「黄色信号」でつかむことが、悪化を防ぐカギです。 周囲ができる対応 青信号(安定) 生活リズムを一緒に確認 睡眠・食事・外出等の確認 黄信号(注意) 本人が選んだ立て直し法を勧める 「少し疲れてるね」とやさしく伝える 無理に励まさず見守る 赤信号(要注意) 眠れない・幻聴・孤立が出たら医療へ 追加薬や臨時受診 場合によって入院を主治医と相談 実際のケース ある利用者さんは「片付けに熱中しすぎると調子を崩す」と周囲に指摘され、プランに記入しました。 サイン:「21時を過ぎても集中している」 対応:「生活リズムを声かけで整える」「休息を勧める」 これにより周囲が早めに声をかけ、悪化を防げました。 共有のメリット 本人の自覚と周囲の観察が一致する 周囲が迷わず動ける 危機を未然に防ぎやすい 本人の尊厳を守れる まとめ 周囲は本人より早く小さな変化に気づける サインと対応を決めておけば安心 日常の小さな変化を見逃さないことが大切 周囲と本人が同じルールで動くことで安定につながる 作るだけでなく、実際に周囲の人と共有することが安定へのカギです。 訪問看護ステーションこころのあい所長 稲垣文雄
2025.09.08
こんにちは。 こころのあいです。 これまでのブログでは、 ① 自分の目標を確認する ② 調子の変化を見分ける ③ 色ごとの対処法を考える ④ ストレスを把握する …という流れでクライシスプランを作ってきました。 今回は⑤「病状が悪化したときの希望の確認」です。 少し重たいテーマに見えるかもしれませんが、 実際の生活で一番役立つ部分でもあります。 なぜ希望を伝えておくのか? 調子が赤信号(要注意)まで進んだとき、 本人は冷静に判断することが難しくなります。 「自分はまだ大丈夫」と思ってしまったり、 逆に「もう何もしたくない」と投げやりになってしまったり。 そんなときに、 事前に「どうしてほしいか」 「どうしてほしくないか」 を書き残しておけば、 周囲は迷わず動けますし、 本人の尊厳も守られます。 こころのあいの利用者様の事例 A・医療への希望 過去に強い不安の中で注射を受けた経験があり、 今もその記憶が心に残っています。 「また同じことになるのでは」という恐怖があるため、 クライシスプランにはこう書きました。 できるだけ飲み薬で対応してほしい 話すときはゆっくり、落ち着いた声で接してほしい 「あなたは病気!」と断定的に言われるのは避けてほしい B・生活面での希望 症状が悪化すると 「とにかく一人でいたい」 気持ちが強くなります。 しかし家族は心配のあまり 「大丈夫?」「元気出して!」と声をかけすぎてしまい、 それが逆効果に。 そこでプランには、 部屋にこもっても責めずに見守ってほしい 危ないときだけ声をかけてほしい そっと飲み物や食事を置いてもらえると助かる 「無理に励まされるより、“見守られている”ことが安心につながります」 C・入院に関する希望 「まだ大丈夫」と思い込み、 受診や入院が遅れてしまうことがありました。 その結果、入院が長引いた経験もあります。 そこで今回は、 要注意症状(幻聴や強い不眠)が1週間以上続いたら入院してもよい 自分が否定しても、スタッフや主治医が必要と判断したら任せたい 入院時には信頼できる姉に連絡して、代わりに説明してほしい 「自分一人では正しい判断ができないことがある。信頼できる人に任せたい」 希望と現実のバランスをとる もちろん、希望すべてが叶うわけではありません。 命に危険に関わるとき、 医療や支援者が優先して判断しなければならない場面もあります。 だからこそ、 1 「本人の希望」 2 「支援者ができること」 3 「現実的に可能な対応」 この3つの折り合いをつけることが大切です。 ここには主治医や家族も含めて話し合う必要があります。 まとめ 病状が悪化すると、自分の希望をうまく伝えられなくなる 元気なうちに「どうしてほしいか」を話し合っておくことが大切 希望と現実の間に折り合いをつけることが、安心した生活につながる 次回は、「周囲からみた状態と対応の共有」についてお伝えします。 訪問看護ステーションこころのあい 所長 稲垣 文雄