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統合失調症・うつ病を中心とした精神科特化型の訪問看護ステーション「こころのあい」
サービスのこと、日々のこと、様々な角度から思うことを発信しています。実際に訪問看護を利用されている当事者やご家族様の声も掲載していますので、これから訪問看護の利用を考えている方の参考になれば幸いです。
ブログ
2025.10.27
こんにちは。こころのあいです。 今回のテーマは「クライシスプランの具体的な使い方」です。 普段、調子が良いときは人と自然に話せたり、外出や仕事や学校にも行ける。 音楽を聴いたり散歩をしたり、リラックスして過ごせる時間もある。 けれど、調子が落ちてくると 人の目が気になって仕方がなくなったり、 周囲の言葉が心に刺さるように感じてしまったりします。 次第に人との関わりを避け、外にも出られなくなり、 最悪のときには「もう何もしたくない」「誰とも話したくない」 と心のシャッターを下ろしてしまうこともあります。 そんな時に「クライシスプラン」が助けになる クライシスプランでは、 調子の変化を3段階(青・黄・赤)で整理し、 状態に合った行動を決めておくことができます。 ひとつの例を見てみましょう。 青信号(安定しているとき) 人と話せている 音楽や散歩でリラックスできる→ 続けていくことで安定を長く保てる。 黄信号(少し調子が落ちてきたとき) 人の目が気になり始める 作業に集中できなくなる→ 無理に人と関わろうとせず、静かな時間を増やす。 好きな音楽を聴く、早めに休む。スタッフに調子を伝える。 赤信号(強い不安や緊張が続くとき) 外出できない、人との会話を避ける 頭の中がいっぱいになり、何も手につかない→ 一人で抱えず、家族やスタッフに連絡する。 必要に応じて受診や休養の調整を行う。 周りの人ができること クライシスプランは、本人だけでなく周囲の関わり方も大切です。 本人が敏感になっているときは、 「頑張って」「大丈夫だよ」と励ますより、 「今日は少し静かに過ごそうか」「無理しないでね」 と安心を伝える声かけが効果的です。 また、言葉がけよりも ≪そっと見守る≫ 、≪近くにいる≫ という関わりが支えになることもあります。 まとめ 調子が良いとき・落ちたときの違いを具体的に書く 状態ごとの「やること」と「周囲の対応」を整理しておく クライシスプランは、本人と周囲が同じ方向で動くための道しるべ 来週からは、実際にこのプランを日常生活の中でどう活かしていくかを、分かりやすく紹介していきます。 訪問看護ステーションこころのあい所長 稲垣文雄
2025.10.21
こんにちは。 このたび、さいたま市保健所主催の「統合失調症患者の家族教室」にお声がけいただき、講師として参加することになりました。 日時:令和7年11月18日(火)14:00~16:00会場:武蔵浦和コミュニティセンター 8階 当日は、「精神科訪問看護とは?」というテーマで、日々の訪問看護の現場から見える支援のかたちや、ご家族との関わり方について、わかりやすくお話しさせていただく予定です。 堅苦しい話ではなく、実際のエピソードや「現場で感じていること」を中心に、聞いてくださった方の心が少し軽くなるような時間を目指したいと思っています。 当日は、当事者の体験談や精神障がい者団体ウィーズさんのお話もあり、さまざまな立場から学べる貴重な時間になると思います。 さいたま市の公式サイトからお申込みを ご興味のある方は、さいたま市保健所の家族教室案内ページをご覧ください。 これからも、「こころのあい」は、地域での安心につながる支援を続けてまいります。 よろしくお願いいたします。 訪問看護ステーションこころのあい所長 稲垣 文雄
2025.10.06
こんにちは。こころのあいです。 今回のテーマは「クライシス・プランの加筆・修正」です。 これまでクライシスプランの作り方をお伝えしてきましたが、 作って終わりではもったいないのです。 生活や病状は日々変わります。 その変化に合わせて、プランも少しずつ直し、 より自分に合った形にしていくことが大切です。 どんなときに修正する? 黄色信号のサインが長く続いたとき 大きな出来事があったとき 季節や生活環境の変化があったとき 「前のプランでは合わなかったな」と感じたら、それは修正の合図です。 修正するときのポイント 1.サインを具体的にする例:「眠れない」→「5時間未満の睡眠が2日続いたら」 2.対処法を優先順位で整理する 例:「音楽を聴く→呼吸法→追加薬→スタッフへ連絡」 3.連絡先や基準をはっきり書く 例:「赤信号のときは当日中に訪看、改善なければ主治医へ」 実際の修正例 ある利用者さんは「片付けに夢中になると寝不足になる」と気づきました。 そこでプランに新しく、 ・サイン:「21時を過ぎても集中している」 ・対応:「声かけで休憩を勧める」 と加えました。この一行を追加しただけで、家族も声をかけやすくなり、 不調を防ぐことにつながりました。 まとめ クライシスプランは作ったら終わりではなく、直して育てていくもの 状況が変わったら「サイン・対処・連絡」を見直す 小さな修正が、安心した生活を守る力になる 今回でクライシスプランの基本的な説明は一区切りとなります。 来週からは「実際にどう活用していくか」という具体的な場面に焦点を当ててお伝えしていきます。 訪問看護ステーションこころのあい所長 稲垣文雄
2025.09.29
こんにちは。こころのあいです。 今回のテーマは「クライシスプランの共有」です。 これまでクライシスプランは、ご本人とスタッフで確認してきました。 しかし本当に力を発揮するのは、大切な人たちと共有できた時です。 家族や大切な人と共有する意味 ご本人は「できるだけ一人でがんばりたい」と思うことがあります。 でも家族は「どこまで声をかければいいのか」「手を出すと嫌がられるのではないか」と迷います。 クライシスプランを一緒に確認しておけば 「黄色信号のときは静かに見守る」 「赤信号になったら主治医へ連絡する」 といった行動があらかじめ決まっているので、家族も安心して支えられるのです。 医療や福祉と共有する意味 診察の場は短い時間で終わってしまいます。 「うまく伝えられなかった」と感じることも少なくありません。 そんなとき、クライシスプランを主治医と共有しておくと、 どんなときに症状が悪化しやすいか そのときにどんな対応を望んでいるか が一目で伝わります。 結果として、診察の中身が濃くなり、治療方針も本人の思いに沿ったものになりやすくなります。 まとめ クライシスプランは「家族」と「医療」と共有してこそ大きな力を発揮する 家族は迷わず支えられるようになり、本人も安心できる 医療は限られた時間でも的確に治療方針を決めやすくなる 作るだけではなく、支援者と一緒にクライシスプランを共有することが安定した生活への近道です。 訪問看護ステーションこころのあい所長 稲垣文雄
2025.09.27
こんにちは。こころのあいです。 今回のテーマは「セルフモニタリング表の作成」です。 これまでクライシスプランでは、サインや対処法を一緒に整理してきました。 でも実際には「頭では分かっているけれど、日常の中で忘れてしまう」ことが多いものです。 そこで役に立つのがセルフモニタリング表です。 セルフモニタリング表って? 毎日のちょっとした調子を、簡単に書き残す表のことです。 「今日の睡眠時間」「気分」「疲れ具合」など、 自分に合った項目を決めて記録します。 紙でも手帳でも、スマホでもOK。 大切なのは“難しくせず続けられること”。 「完璧でなくていいですよ、3日に1回でも構いません」と伝えています。 記録を残すと見えてくること ある方は「寝不足が続くとイライラしやすい」と、記録をつけて初めて気づきました。 別の方は「デイケアを休んだ週は調子が下がりやすい」と分かりました。 本人だけでなく、私たちスタッフも一緒に表を見ながら、 「このあたりで立て直そう」「ここで無理しすぎたね」と話し合えるのです。 こころのあい流の使い方 記録はシンプルに(〇×や0〜2の数字で十分) 無理せず続ける 訪問時に一緒に振り返り、次の工夫につなげる こうすることで、ただの「紙」ではなく「安心できるプラン」になります。 まとめ セルフモニタリング表は日々の調子を“見える化”する道具 無理なく続けられる形で、自分に合った項目を選ぶ 記録をもとに本人と支援者が同じ目線で話せるようになる 作るだけでなく、日々の中で“使ってこそ生きるプラン”にしていきましょう。 訪問看護ステーションこころのあい所長 稲垣文雄
2025.09.15
こんにちは。 こころのあいです。 今回のテーマは 「周囲からみた状態と対応の共有」です。 本人より先に周囲が変化に気づくことが多いのです。 「周囲が気づくサイン」と「そのときにどう動くか」を考えてみましょう。 周囲から見えるサイン 本人は「大丈夫」と思っていても、周囲には違いが見えることがあります。 朝の起きる時間が遅くなる 会話が減り返事が短い 身だしなみが乱れる 外出やデイケアを休む こうした小さな変化を「黄色信号」でつかむことが、悪化を防ぐカギです。 周囲ができる対応 青信号(安定) 生活リズムを一緒に確認 睡眠・食事・外出等の確認 黄信号(注意) 本人が選んだ立て直し法を勧める 「少し疲れてるね」とやさしく伝える 無理に励まさず見守る 赤信号(要注意) 眠れない・幻聴・孤立が出たら医療へ 追加薬や臨時受診 場合によって入院を主治医と相談 実際のケース ある利用者さんは「片付けに熱中しすぎると調子を崩す」と周囲に指摘され、プランに記入しました。 サイン:「21時を過ぎても集中している」 対応:「生活リズムを声かけで整える」「休息を勧める」 これにより周囲が早めに声をかけ、悪化を防げました。 共有のメリット 本人の自覚と周囲の観察が一致する 周囲が迷わず動ける 危機を未然に防ぎやすい 本人の尊厳を守れる まとめ 周囲は本人より早く小さな変化に気づける サインと対応を決めておけば安心 日常の小さな変化を見逃さないことが大切 周囲と本人が同じルールで動くことで安定につながる 作るだけでなく、実際に周囲の人と共有することが安定へのカギです。 訪問看護ステーションこころのあい所長 稲垣文雄
2025.09.08
こんにちは。 こころのあいです。 これまでのブログでは、 ① 自分の目標を確認する ② 調子の変化を見分ける ③ 色ごとの対処法を考える ④ ストレスを把握する …という流れでクライシスプランを作ってきました。 今回は⑤「病状が悪化したときの希望の確認」です。 少し重たいテーマに見えるかもしれませんが、 実際の生活で一番役立つ部分でもあります。 なぜ希望を伝えておくのか? 調子が赤信号(要注意)まで進んだとき、 本人は冷静に判断することが難しくなります。 「自分はまだ大丈夫」と思ってしまったり、 逆に「もう何もしたくない」と投げやりになってしまったり。 そんなときに、 事前に「どうしてほしいか」 「どうしてほしくないか」 を書き残しておけば、 周囲は迷わず動けますし、 本人の尊厳も守られます。 こころのあいの利用者様の事例 A・医療への希望 過去に強い不安の中で注射を受けた経験があり、 今もその記憶が心に残っています。 「また同じことになるのでは」という恐怖があるため、 クライシスプランにはこう書きました。 できるだけ飲み薬で対応してほしい 話すときはゆっくり、落ち着いた声で接してほしい 「あなたは病気!」と断定的に言われるのは避けてほしい B・生活面での希望 症状が悪化すると 「とにかく一人でいたい」 気持ちが強くなります。 しかし家族は心配のあまり 「大丈夫?」「元気出して!」と声をかけすぎてしまい、 それが逆効果に。 そこでプランには、 部屋にこもっても責めずに見守ってほしい 危ないときだけ声をかけてほしい そっと飲み物や食事を置いてもらえると助かる 「無理に励まされるより、“見守られている”ことが安心につながります」 C・入院に関する希望 「まだ大丈夫」と思い込み、 受診や入院が遅れてしまうことがありました。 その結果、入院が長引いた経験もあります。 そこで今回は、 要注意症状(幻聴や強い不眠)が1週間以上続いたら入院してもよい 自分が否定しても、スタッフや主治医が必要と判断したら任せたい 入院時には信頼できる姉に連絡して、代わりに説明してほしい 「自分一人では正しい判断ができないことがある。信頼できる人に任せたい」 希望と現実のバランスをとる もちろん、希望すべてが叶うわけではありません。 命に危険に関わるとき、 医療や支援者が優先して判断しなければならない場面もあります。 だからこそ、 1 「本人の希望」 2 「支援者ができること」 3 「現実的に可能な対応」 この3つの折り合いをつけることが大切です。 ここには主治医や家族も含めて話し合う必要があります。 まとめ 病状が悪化すると、自分の希望をうまく伝えられなくなる 元気なうちに「どうしてほしいか」を話し合っておくことが大切 希望と現実の間に折り合いをつけることが、安心した生活につながる 次回は、「周囲からみた状態と対応の共有」についてお伝えします。 訪問看護ステーションこころのあい 所長 稲垣 文雄
2025.09.01
こんにちは。 こころのあいです。 今回は「ストレスの確認」です。 不調になるきっかけを知っておくことは、 症状悪化を防ぐための大事な一歩です。 ストレスは「心のコップ」にたまる水 ストレスは心や体に少しずつたまっていきます。 元気なときはコップの水はあふれませんが、 病気があるとコップの縁が低くなっていて、 あふれやすくなります。 だから 「どんな水がたまりやすいのか=自分のストレス源」 を知っておくことが大事です。 こころのあい3人の事例 Aさんの場合 ・ストレス源:睡眠不足、家族との口論、急な予定変更 ・過去の経験: 「夜更かしが続くと、まず朝が起きられなくなります。 そのあとイライラして、人と距離をとりたくなるんです。」 ・対処法: 夜は必ず同じ時間に寝る。 家族との会話は疲れている日は短めにする。 深呼吸をいつも以上に意識して行う。 Bさんの場合 ・ストレス源:騒音、急な来客、お金の不安 ・過去の経験: 「急に知らない人が来ると頭が真っ白になる。 騒がしい環境も苦手で、気持ちが落ち着かなくなります。」 ・対処法: 耳栓や静かな音楽、好きな香りなどで環境を整える。 来客は事前に連絡をお願いする。 家計簿アプリでお金の見通しを立てる Cさんの場合 ・ストレス源:やりすぎて疲れがたまること、体調の変化、孤独感 ・過去の経験: 「頑張りすぎて体も心もクタクタになったとき、 不思議な声が聞こえ始めたことがあります。」 ・対処法: 1日の予定に「休む時間」を必ず入れる。 体調の小さな変化をメモに残す。 週1回は大切な人と電話する。 ストレス対処のヒント ■ 行動で対処:散歩、音楽鑑賞、趣味、休養、呼吸法 ■ 考え方で対処:「最低限でいい」「とりあえず後回し」など、 力を抜く考え方 ■ 人に話す:支援者や家族、友人に現状を伝える 自分に合った方法をいくつか持っておくと、 ストレスがたまってもあふれにくくなります。 まとめ ストレスは不調の引き金になる 自分のストレス源を把握し、対処法を準備する Aさん ・ Bさん ・ Cさんのように、 具体的な経験と対策をセットで考えると効果的 次回は、「病状悪化時の希望の確認」についてお伝えします。 訪問看護ステーションこころのあい 所長 稲垣 文雄
2025.08.25
こんにちは。 こころのあいです。 前回は、心の調子を信号機の色で 「青・黄・赤」に分けて見極める方法をお話ししました。 今回は、その色ごとに「何をすればいいか」を決めるステップです。 どうして事前に決めるの? 人は調子が崩れてくると、 冷静な判断が難しくなります。 「何をすればいいか」をその場で考えるのは、 まるで火事になってから 消火器の場所を探すようなもの。 だからこそ元気なうちに、 「色別の行動メニュー」を決めておくことが大事です。 こころのあいの利用者さんの場合 青信号(安定) Aさんは、青信号のときは朝きちんと起きて洗濯や掃除をこなし、 近所の人とも気軽に話せます。 Aさんがこの状態を保つためにしているのは、 夜は必ず同じ時間に寝る 朝のラジオ体操は欠かさない 1日1回は外に出て太陽を浴びる 「青信号を長く続けると、自分に自信がつきます」 と、笑顔で話してくれます。 黄信号(注意) Bさんは、黄信号に入ると「人と話すのが面倒」 と感じ始めます。 そんなときは、 好きな音楽を聴く コーヒーを淹れて一息つく 訪問時にスタッフへ今の気分を伝える 「音楽とコーヒーは、頭の中をリセットしてくれるんです」 Bさんは、この段階で立て直せることが増えました。 赤信号(要注意) Cさんは、赤信号になると眠れなくなり、 玄関の鍵を何度も確認します。 そのときの行動メニューは、 すぐに主治医や訪問看護のスタッフへ相談 主治医の指示で追加薬を服用 状況によっては臨時受診や短期入院 「赤信号になったら、自分一人でなんとかしようとしない」 これがCさんの考え方です。 行動は「順番」も決める 「青→黄→赤」と信号が変わったとき、 やることの順番も決めておくと迷いません。 ・ 黄になったら深呼吸と音楽 ↓ ・ 変化がなければスタッフに連絡 ↓・ 赤になったら受診や入院も視野に入れる まとめ 信号の色ごとに、自分に合った行動メニューを作る 青は安定を保つ習慣、黄は立て直す工夫、赤は迷わず周囲に助けを求める 順番も決めておくと行動が早くなる 次回は「ストレスの確認」について。 自分の “ 調子の崩れやすいやすいポイント ” を知っておくことが、 安定を長く保つコツです。 訪問看護ステーションこころのあい 所長 稲垣 文雄