お問い合わせCONTACT
MENUCLOSE
統合失調症・うつ病を中心とした精神科特化型の訪問看護ステーション「こころのあい」
サービスのこと、日々のこと、様々な角度から思うことを発信しています。実際に訪問看護を利用されている当事者やご家族様の声も掲載していますので、これから訪問看護の利用を考えている方の参考になれば幸いです。
ここあい便り
2025.06.23
~心が疲れたときに~ 今日は、心のケアについてお話ししたいと思います。 参考にしたいのは、“ミスター”こと長嶋茂雄さんの生き方でした。 長嶋さんといえば、誰もが知るプロ野球のスター。 明るくて、豪快で、元気いっぱい――まさに“太陽のような人”でした。 でも、2004年に脳梗塞で倒れたあと、長い年月をかけて、地道にリハビリを続けておられました。 その姿勢から、私たちが日々関わっている「心のリハビリ」にも通じるものを感じています。 🪴小さな「できた」が、心を支える 長嶋さんは、毎朝決まった時間に起きて、同じメニューのリハビリを欠かさなかったそうです。 歩く練習、声を出す練習、一歩一歩、前へと進む日々。 そして「今日はこれができた!」と、喜びを感じていたといいます。 「こころのあい」の訪問看護でも、 朝起きて顔を洗えた 天気に気づけた 一緒にストレッチしてみた そんな日常の中の小さな「できた」を、一緒に見つけていきます。 昨日できなかったことが、今日はできた。 それだけで、心にあたたかい火が灯るんです。 😊誰かと笑える時間は、何よりの薬 リハビリ中、長嶋さんは見舞いに来た人にいつも笑顔で接していたと聞きます。 言葉がうまく出ない日も、「ありがとう」「うれしいよ」と、気持ちを伝えていたそうです。 心がつらいとき、自分の気持ちを言葉にするのは本当に大変です。 でも、 一緒に笑える人がいる。 「ありがとう」と言い合える関係がある。 それだけで、心はちょっとだけ軽くなるものです。 私たちも、そんなひとときを大切にしています。 真面目な話ばかりじゃなくて、ちょっとした笑いも交えながら。 ほっとできる空気を、一緒につくりたいと思っています。 訪問看護ステーション こころのあい所長 稲垣文雄
2025.06.16
~笑いと感動、そして勇気を再び~ 2025年6月3日、ミスター・プロ野球/ミスター・ジャイアンツとして愛された長嶋茂雄さんが89歳で逝去されました。 子どもから大人まで日本中の心を震わせたその生涯に、深い感謝と敬意を捧げます。 所長・稲垣文雄も、心から尊敬し続けた一人でした。 ⚾華麗な現役プレーと圧巻の打撃記録 1958年に巨人に入団した長嶋さんは、通算打率.305、444本塁打、2,471安打など、伝説となる成績を残しました。 バットを天に放り投げる圧巻のホームランパフォーマンスは、まさに“芸術”。 打撃も解説も、“バーンと打つんだよ!”など独特の語り口がファンの心をがっちりつかみました。 🎤伝説の「10.8決戦」 1994年10月8日、同率首位で迎えた巨人vs.中日の「10.8決戦」。 この一戦は、リーグ優勝を懸けた試合で、名古屋ドームはまるで国民的行事のような熱気に包まれました。 結果は6‑3で巨人が勝利。 この試合後、胴上げされる長嶋監督の笑顔と「勝つ、勝つ、勝つ!」の声は、今も多くの人々の胸に残っています。 🎙独特のユーモアと言葉の魔術 長嶋さんにはユーモアあふれる名語録が多数あります 「こうきて、バシッときたら、ガーンと打つんだよ」 「英語? ベリーグーだけで十分さ!」 エレベーターの“閉”ボタンを「これでシャッターがバーッと…」と真顔で説明(笑) 聞くたび笑ってしまう、でも真面目に聞くと腹に落ちる。そんな人柄が、球場だけでなく、人々の心にも愛され続けました。 💪病を越えて “練習”を続ける姿 2004年に脳梗塞に倒れても、「練習だ」とリハビリを継続。 ユーモアと感謝を忘れず、好きなものには笑顔で応え続けました。 それは精神科訪問看護としての支援に通じるものがあり、自律神経を整える日々の小さな努力の大切さを再認識させてくれました。 所長の想い そのユーモアと戦う心は、訪問看護の支援の核になっています。 「練習」「笑い」「感謝」が、支援の現場でも大きな力になると思います。 天国でもどうか、大好きな野球を続けてファンを魅了してください。 本当に、お疲れ様でした。 そして多くの感動をありがとうございました。 訪問看護ステーション こころのあい所長 稲垣文雄
2025.06.09
怒りがわいたとき、どうすればいい? こころのあい流・やさしいアンガーマネジメント はじめに 「イラッとして言わなくてもいいひと言を言ってしまった」 誰にでもある経験です。 怒りは自然な感情ですが、爆発させてしまうと後悔や人間関係のこじれを招きます。 今日は「怒りとうまく付き合うコツ」をやさしく整理してみましょう。 怒りの仕組みを知ろう 私たちが強く腹を立てるとき、その裏には「気づいてほしい」「わかってほしい」という願いが隠れていることが多いと言われます。 ところが、その気持ちを言葉にせず “察してほしい” と相手に期待するほど、ズレが大きくなり、怒りへと発展しやすいのです。 怒りは「期待が届かなかった」ときの赤信号 強い怒りの奥には、しばしば「相手はこうしてくれるはず」という期待があります。 話を最後まで聞いてくれると思ったのに、目の前でスマホをいじられた⇒「私の話を無視するなんて!」 時間は守って当たり前だと思ったのに、10分遅れて来られた⇒「待たされるなんて失礼!」 このように、期待と現実のズレが大きいほど怒りは強くなるものです。 今日からできる 3 つのコントロール術 期待を“見える化”して伝え方 ✕「どうして分かってくれないの?」 〇「15分だけ静かに休みたいから、その間は声をかけないでくれる?」 してほしいことを具体的に言葉にすると、相手が動きやすくなりズレが縮まります。 ヒントで思い出してもらう 〇穏やかに「昨日お願いした件、覚えているかな?」と声をかけて記憶を呼び起こしてもらう。 クイズ感覚で“気づき”を促すと、お互いの気持ちが和らぎます。 “気づきやすい環境”を先に整える 〇大事な用件は口頭+メモ(付せんや共有アプリ)でダブルチェック。 〇伝達ミスを防ぐ仕組みをつくれば、怒りの火種自体が減ります。 こころのあいができること ・感情整理のお手伝い・訪問時に「最近イラッとした場面」を振り返り、怒りの奥にある本当の期待を言葉にするサポートをします。 ・コミュニケーション練習 ・看護師や作業療法士とロールプレイで「期待の伝え方」を練習。 ・家族との“ちょうどいい距離”調整 ・家族にも怒りのスイッチや期待を共有し、役割分担や休息時間を再設定。 ・主治医との連携~怒りが強まり睡眠や体調に影響している場合は主治医に状況を共有。 ・薬の調整が必要かどうか、看護師と一緒に検討してもらいます。 まとめ 怒りは悪者ではなく、「私の期待がまだ届いていませんよ」というサイン。 サインを上手に届ける工夫をすれば、人間関係はぐっとスムーズになります。 「無理にがんばらなくて大丈夫」。 怒りで困ったときは深呼吸をして、こころのあいに相談してください。あなたのペースで、穏やかな毎日への一歩を一緒に探しましょう。 訪問看護ステーションこころのあい所長・稲垣文雄
2025.06.02
「家でも外でも落ち着く所が見つからない」 ——そんな声をよく耳にします。 けれど、ホッと息がつける場所が一つでもあれば、毎日の重さはぐっと軽くなります。 私たちは、その小さな安心スポットを一緒に探します。 こんな悩み、ありませんか? ・家の中が緊張ムードで、深呼吸する場所がない ・学校で病気のことを知られるのが怖く、友達に言い出せない ・体調が続かず職場で肩身が狭い ・病院とスーパー以外に行き先が浮かばず、休日が長く感じる 「逃げる」のではなく、“自分を守れる寄り道”を増やす発想で取り組んでみましょう。 こころのあいができる 5 つのこと 1 居場所マップづくり ・作業所・就労移行支援・図書館・静かなカフェなどをリスト化。 ・「読書が好き」「手を動かすと落ち着く」など本人の興味を手がかりに、一緒に行き先を選びます。 2 家族との“ちょうどいい距離”を考える ・看護師・作業療法士が家族相談を実施。 ・境界線や役割分担を整理し、必要なら**「安心して少し離れる作戦」**も検討します。 3 地域の楽しみ発掘 ・朝市で新鮮野菜を買う、静かな公園で季節の花を眺める、駅前のパン屋さんを巡る。 ・障害に関係なく楽しめるスポットをスタッフと利用者さんで共有し、「ちょっと外に出てみようかな」と思える機会を増やします。 4 信頼できる人がいる安心感 ・訪問時は「今日感じたこと」を安心して話せる時間。 ・否定せず耳を傾けます。 「無理にがんばらなくて大丈夫。一緒に次の一歩を考えよましょう。」 まとめ 居場所は“心の充電ステーション”。 たくさんあった方が、心も体も元気に動き出せます。 孤独を感じたら、一人で抱え込まず、私たちに声をかけてください。 あなたのペースで、「ここならホッとできる」と胸を張れる場所を一緒に増やしましょう。 訪問看護ステーション こころのあい所長・稲垣文雄
2025.05.26
「気づいたら今日の薬を飲み忘れていた」「忙しくてタイミングを逃した」 ——そんな経験、ありませんか? 精神科のお薬は、【減らす】より【適正な量を続ける】ことが大切。 だからこそ、飲み忘れは大きな不安につながります。 飲み忘れが起きやすい理由 生活リズムの乱れや忙しさで、単純に忘れてしまう 症状が落ち着き「もう飲まなくても大丈夫」と感じてしまう 記憶力・集中力の低下、副作用への不安 服薬回数が多い、食前などタイミングが複雑 「一度だけなら平気かな」と思いがちですが、主治医が必要と判断した薬を続けることが再発予防の第一歩。 自己判断の中断や不規則な服薬は、離脱症状や症状悪化を招くおそれがあります。 こころのあいができること 1・生活リズムに合わせた“服薬ルーティン”づくり 訪問時に一日の流れを整理し、朝食後の歯みがきや就寝前のストレッチなど、既存の習慣と薬をセット。 無理のないタイミングを一緒に見つけます。 2・薬カレンダーとスマホ通知の活用 薬カレンダーで“飲む・飲んだ”をひと目で確認。 スマホのリマインダーを設定し、時間になると音やバイブでお知らせ。外出先でも忘れにくくなります。 3・訪問時の“やさしい声かけ”と見守り 看護師・作業療法士が「飲めましたか?」ではなく「今日も一緒に確認しましょうか」と寄り添います。 監視ではなく“安心できる二重チェック”を目指します。 4・主治医・薬剤師との橋渡し 飲み忘れが続く薬の回数や剤形変更を主治医に提案。 副作用や飲み合わせの不安を薬剤師に確認し、わかりやすく共有。 薬を減らすかどうかは主治医が判断し、その際に看護師も一緒に考え、サポートします。 まとめ — 無理しない、でも一人じゃない お薬は【多すぎても少なすぎても良くない】もの。 適正量を続けつつ生活リズムを整えることが、心と体を守る近道です。 飲み忘れが気になったら、一人で抱え込まず、私たちと一緒に対策を考えてみませんか? 「無理にがんばらなくて大丈夫」。 あなたのペースに合わせて、こころのあいがそっと伴走します。 困ったときはいつでもご相談くださいね。 訪問看護ステーション こころのあい所長・稲垣文雄
2025.05.19
〜今の暮らしと向き合う訪問看護〜 「最近また声が聞こえるようになってきたんです」 そう話してくれたのは、訪問を始めて数ヶ月経つ利用者様。 幻聴は、統合失調症などの診断を受けた方に多く見られる症状の一つですが、 最近私たちは、その“声”が、本人の現在の生活に深く結びついていることを強く感じています。 【“今の暮らし”が幻聴の背景にある?】 たとえば、一人暮らしをしているある利用者様は、 いつも「誰かが文句を言っているような声が聞こえる」と言っていました。 よく話を聞いてみると、 ・仕事をやめてからずっと家にいて、人との関わりが減っている ・家の中も散らかっていて、生活リズムが崩れている ・将来に対する不安がずっと胸の中にある こうした状況が続く中で、「このままでいいの?」「何もできていない」という“自分の中の思い”が、幻聴という形で現れてるように思われます。 幻聴の内容は、単なる妄想ではなく、本人の心の奥にある不安や孤独、 後悔といった感情が、 声として聞こえていることもある。 ――私たちはそう捉えています。 【幻聴に支配されないために、私たちができること】 幻聴とうまく付き合うためには、単に薬を飲むだけでは足りません。 「今の暮らしをどう整えていくか」「どんな気持ちがその背景にあるか」を 一緒に見つめていくことが大切です。 こころのあいでは、こんな支援をしています 幻聴の内容を否定せず、「今、どんな風に聞こえていますか?」と一緒に整理する 生活の中でストレスや孤独を感じている部分を探り、改善できる方法を一緒に考える たとえば、一緒に部屋を少し片付ける、料理をして気分転換する、 外の空気を吸いに行くなど、小さな行動から生活に変化をつけていく 「その声は“本当のあなた”があなたに伝えようとしていることかもしれませんね」と、幻聴を“心のメッセージ”として受け取るお手伝いをする 【声に耳を傾けることは、自分自身と向き合うこと】 幻聴を「ただ消したいもの」として無理に押さえ込もうとすると、 かえってつらくなってしまうこともあります。 でも、「その声の背景にある自分の気持ち」に目を向けてみると、 今の生活を見直すヒントが見えてくることもあります。 私たちこころのあいは、幻聴に悩む方にこう伝えています 「声があっても大丈夫。あなたの生活を、あなたらしく整えていくお手伝いをします。」 一人では難しいことも、誰かと一緒なら少しずつ進める可能性があります。 幻聴が教えてくれる“心の声”と、無理なく向き合えるような訪問看護を、これからも続けていきます。 訪問看護ステーション こころのあい所長・稲垣文雄
2025.05.12
「睡眠薬ってクセになるんじゃないの?」 「ずっと飲み続けるのがこわい」 そんなふうに感じる方も多いと思います。 でも、実は最近の睡眠薬は、昔と比べて“依存しにくく”自然な眠りに近づける”工夫がされているものが増えているんです。 今回は、こころのあいでもよく話題にのぼる比較的新しめの睡眠薬を2つご紹介します。 ① デエビゴ(一般名:レンボレキサント) デエビゴは「オレキシン受容体拮抗薬」という種類のお薬です。 “覚醒”に関わる脳内物質「オレキシン」の働きをやさしくブロックすることで、 自然な眠りに誘導するのが特徴です。 ポイント 寝つきが悪い人にも、夜中に目が覚める人にも使える 翌朝のふらつきが少ないと感じる方が多い ベンゾジアゼピン系と違い、依存性が低いとされています 「薬で無理やり眠らされている感じが苦手…」という方にも、比較的受け入れやすいタイプのお薬です。 ② ロゼレム(一般名:ラメルテオン) ロゼレムは、「メラトニン受容体作動薬」という、体内時計を整えるはたらきを持った薬です。 メラトニンというのは、自然な眠気を作るホルモン。 これを外から補うようなイメージのお薬です。 ポイント 「生活リズムを整える」目的で処方されることも 翌日に眠気が残りにくい 長期服用しても、依存の心配が少ないとされています 睡眠薬というよりは、「眠る準備を助けるサプリに近いイメージ」と言う方もいるくらい、 やさしい効き方をするお薬です。 昔の睡眠薬と、ここが違う 従来よく使われていた「ベンゾジアゼピン系」睡眠薬(例:ハルシオン、レンドルミンなど)は、 ・効果がはっきりしている ・でも長期使用で依存や耐性(効かなくなる)が出やすい ・ふらつきや転倒のリスクがある という特徴がありました。 一方、今回紹介したような新しいタイプのお薬は、依存や副作用が少なく、 長く安心して使える設計になっています。 まとめ 眠りは、心と体の回復に欠かせない大切な時間。 お薬をうまく使うことで、無理なく眠れる土台ができることもたくさんあります。 こころのあいでは、 「今の薬が合ってるか不安」 「眠り方を見直したい」 そんなご相談にも、一緒に考えながらサポートしています。 眠れない夜が続いている方、どうか一人で抱え込まずにご相談くださいね。 訪問看護ステーション こころのあい所長・稲垣文雄
2025.05.05
「そんなことないよ」では届かない!? 「誰かに見られている気がする」 「近所の人が悪口を言っている」 「テレビで自分のことが流れていた」 こうした“被害妄想”に悩む方と向き合うとき、私たちは毎回、 言葉の選び方や関わり方に細心の注意を払っています。 なぜなら、「そんなことないよ」と否定してしまうことで、 本人の不安や孤独がかえって強まることがあるからです。 被害妄想は“怖い”から生まれる? 被害妄想は、本人にとって「事実」ではなくても、「現実のように感じている怖さ」 があります。 本人も、「こんなことを思ってしまう自分はおかしいのではないか…」と、 心の中で混乱していることも少なくありません。 こころのあいの訪問看護では、まずその【怖さ”や“疑い】に共感するところから関わりを始めています。 訪問看護での関わりの工夫 被害妄想に対して、私たちが大切にしている関わり方のポイントをご紹介します。 1. 否定しない、焦らせない 「そんなことないですよ」と簡単に言わず、 →「そう感じたんですね」「それは怖かったですね」と気持ちの受け止めから始めます。 2. “安心できる場”をつくる いつも同じ時間に訪問したり、表情や声のトーンを落ち着かせたり、 → 「この人は敵じゃない」「ここは安全だ」と感じてもらう環境を整えます。 3. 事実と感情をゆっくり分けていく 「実際に何があったのか」「そのときどう感じたのか」を、時間をかけて整理します。 → 急いで“正しさ”に導かず、“自分の気持ちに気づく力”を一緒に育てていく 関わりを大切にしています。 周囲の方が気をつけたいこと ご家族や支援者の方が関わる際にも、次のようなポイントを意識すると、 関係がこじれにくくなります。 ● 「証明しようとしない」 →「そんなのありえない」「証拠はあるの?」という言い方は、 逆に対立や不信感を生みやすくなります。 ● 感情的に反応しない →被害的な内容を言われたときも、「そんなこと言わないで!」と強く反応せず、 「最近つらいことがあったのかな?」と気持ちに寄り添うようにします。 ● 日常の安心感をつくる →決まった時間にご飯を食べる、天気の話をするなど、「日常の変わらない安心」が 心を落ち着ける土台になります。 まとめ 被害妄想は、“本人だけの問題”ではありません。 日々の生活や関係性、ストレス、疲れ…さまざまな要因が重なって生まれてくるものです。 こころのあいでは、ただ正すのではなく、理解しようとする姿勢を持つことを何より大切にしています。 「本当はわかってほしい」「でも言えない」 そんな声なき声を、これからもそっと受け止めていきたいと思っています。 訪問看護ステーション こころのあい所長・稲垣文雄
2025.04.28
精神科の薬と、安定を保つという選択 訪問看護の中で、「この薬、必要なんでしょうか?」という声を聞くことがよくあります。 特に、精神科の薬だけでなく、内科薬・鎮痛薬を含めた多剤処方が続いているケースでは、 体への負担や長期的な影響を心配する方も少なくありません。 確かに、薬は「少ないほうが良い」と感じてしまう気持ちはわかります。 しかし実際には、薬が“多い”=“悪い”ではなく、“合っているかどうか”が大切なのです。 精神科の薬は「減らすこと」がゴールではありません 特に、統合失調症や双極性障害(躁うつ病)を抱えている方にとっては、薬は生活の安定を支える柱になります。 医師の中には、「あえて減らさない」という判断をされる方も少なくありません。 それは決して意地でも減らさないという話ではなく、“安定した状態を崩したくない”という 意志のあらわれでもあります。 なぜなら、こうした病気では 一錠の減薬で体調や思考に変化が起きる 過去に再発を繰り返してきた経緯がある 減薬をきっかけに不眠・幻覚・気分の波が戻ってしまう といったリスクが高く、安定の継続がとても繊細なバランスの上に成り立っていることが多いからです。 薬の量より、“今の自分に合っているか”を大切に 「もう落ち着いているから、薬を減らしてもいいのでは?」 そう思う気持ちがある一方で、“安定している今”を大切に守るために、薬の量を維持する”という 考え方もあります。 また、たとえば睡眠薬についても、 「最近は眠れるけど、飲まないと不安になる」 「毎晩飲んでいるけど、たまにだけでもいいのでは?」 そんな場合には、“必要なときだけ使う(必要時使用)”という柔軟な使い方も選択肢になります。 こころのあいが大切にしていること 私たち訪問看護では、 服薬状況の把握と共有 本人の体調や不安の声の聞き取り 主治医との連携 を通して、「必要な薬が、必要な量で、無理なく継続できる」状態を支えることを目指しています。 私自身の考えとして、「薬をただ減らすこと」よりも、「適正な薬の量で、長く安定を保つこと」が 何より大切だと思っています。 精神疾患のある方にとって、安定した日々が続くことがどれだけ大切かを、現場で日々感じているからです。 薬のことを考えるとき、「飲みすぎでは?」と疑うだけでなく、 「この薬があることで、今の暮らしがどう支えられているか?」という視点も大切にしていきたいですね。 もし薬に関して不安や迷いがあるときは、どうぞお気軽にご相談ください。 一緒に、ゆっくり考えていきましょう。 訪問看護ステーション こころのあい所長・稲垣文雄